犬のワクチン接種
犬は毎年狂犬病ワクチンと混合ワクチンを接種しますが、その内容や注意点について簡単にまとめてみました。以下をご覧ください。
狂犬病ワクチン
狂犬病はウイルスの感染による非常に恐ろしい病気で、犬以外の哺乳類にも全般的に感染します。いわゆる人畜共通感染症で、犬や人が発症すると100%の死亡率といわれています。万が一の日本での発生・蔓延を防ぐために生後90日令以降の犬は狂犬病ワクチンを接種し市へ登録する事が法律で義務付けられています。その後は1年に1回追加接種を行っていきます。
混合ワクチン
何種類かの病気を同時に予防する混合ワクチンです。
当院で使っているのは
6種 | 犬ジステンパーウィルス 犬伝染性肝炎 犬アデノウィルス(2型) 犬パラインフルエンザ 犬パルボウィルス 犬コロナウィルス |
8種 | 犬ジステンパーウィルス 犬伝染性肝炎 犬アデノウィルス(2型) 犬パラインフルエンザ 犬パルボウィルス 犬レプトスピラ病(カニコーラ、コペンハーゲニー、ヘブドマディス) |
この中で非常に重篤ですべての犬に接種が勧められる(コアワクチン)ものはジステンパー・アデノ・パルボウイルスです。これらはすべて6種ワクチンに含まれています。
8種ワクチンに含まれるレプトスピラ病は人畜共通伝染病で非常に重要な病気ですが、ワクチンアレルギーの原因の一つとして考えられており、6種にするか8種にするかはワンちゃんによって検討が必要だと思います。
当院では通常は8種ワクチンをお勧めしていますが、ほとんど外出しないようなワンちゃんやワクチンアレルギーの可能性がある場合は6種ワクチンを検討しています。
接種プロトコール
通常は生後2ヶ月と3ヶ月、その後は1年に1回の追加接種を行っていきます。
※子犬の場合は状況によりプロトコールを変更する必要があります、初回来院時はなるべくワクチンの接種証明書をお持ちください。
ワクチンアレルギー
ワクチン接種後にアレルギー反応を起こす事がまれにあります。よく遭遇するのが顔面腫脹で、眼の周りやマズル・口の周りがパンパンに腫れて痒がります。また、接種部位が腫れたり痛みがでたりする事もあります。これらのアレルギーは遅いと半日位経ってから症状が出る事もありますのでワクチンはなるべく午前中に接種する事をお勧めします(夕方接種すると深夜に症状が出てしまう可能性があります)。
非常にまれですがアナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応を起こす事もあり、これは緊急治療をしないと命にかかわります。アナフィラキシーショックは通常接種直後~20分以内に発生しますのでワクチン接種の後はしばらく院内、もしくは病院の近くで様子をみていただくのが安全だと思います。
同時接種について
よく質問いただくのですが、狂犬病予防注射と混合ワクチンの同時接種は基本的に行っていません。
理由は
- 他メーカーの製剤のため同時接種による安全性は確認されていない。
- 万が一副反応が出てしまった場合にどちらが原因か分からない。
どの程度間隔を空ければよいかというと
狂犬病ワクチン(不活化ワクチン)後は1週間以上
混合ワクチン(生ワクチン含む)後は1ヵ月以上間隔を空けて他ワクチンを接種できます。
ワクチン後の注意
大事なのは1日様子を見てあげること。ワクチンアレルギーの様な症状がでないか、体調が悪そうじゃないか、様子を見てあげてください。
接種後1日位はシャンプーと激しい運動も一応避けておいてください。あとはいつも通りの生活で問題ありません。